眼科特診ブログ⑨です!
皆さん、こんにちわ。
りんごの樹動物病院、勤務医のコムラです。
今回も、当院の眼科特診を受診された子たちのひとりをご紹介していきます。
この病気を知ってからというもの、
病院に来る子たちの多くに、
この病気の予防方法をお伝えするようになりました。
トイ・プードルの子の角膜変性症
5才のトイ・プードルの子です。
この子は最初、左眼の痛みを訴えて来院されました。
その他にも、両眼の角膜中心部に白い付着物も認められていました。
検査の結果は、【角膜変性症】
これは角膜の表面もしくは実質に
結晶状の沈着物が出てきてしまう病気です。

眼の角膜中心部にキラキラした沈着物が認められます。

こちらにもやや盛り上がるキラキラした沈着物を認めます。

フルオレセイン染色液に染まらないので、傷ではありません。

同様に左眼も目立った傷はありません。
では、今回のこの角膜変性症はどのようにして発症したのでしょうか。
一般的にこの病気自体の原因として考えられるものはいくつかありますが、
その中でも特に、
この原因が一番身近で多いのではないかと感じています。
それは【マイボーム機能不全症】という病気です。


どちらの眼の縁にも規則正しく並ぶ白い点があるのが分かるでしょうか。
この場所にマイボーム腺と言われる油の分泌腺があります。
このマイボーム腺が正常に機能していれば、
まぶたを閉じたときに油が分泌され、
涙の蒸発を防ぎ、均一な涙液膜を維持することができます。
ただし、この子のマイボーム腺から分泌される油は白くラード状に固まっており、
十分な分泌機能を維持出来ていませんでした。
その結果、まばたきして角膜の中心部に質の悪い油が分泌され、
結晶状の沈着物が染みこんでいくのです。

この【マイボーム腺機能不全症】をきちんと予防することが出来れば、
多くの【角膜変性症】を予防することが出来ると思います。
そのために今からでもできることは、
しっかりとまばたきをする事です。
現代の日本のペットとしているわんちゃんたちの多くは、
眼が大きく
顔が小さく
かわいい見た目になるよう作られている子達が多いです。
その結果、
きちんと眼を閉じれないで生活している子も沢山います。
皆さんのお家のワンちゃんは、
眼を開いたまま寝ていませんか?
それはマイボーム腺機能不全症の始まりです。
毎日でなくてもいいんです、
決まった回数をやらなくてもいいんです、
大好きな子達の頭をなでるときなどに
気付いたら、
しっかりとまばたきをさせてあげる習慣をつけてください。
それだけで、
将来の眼の病気をグッと減らせるかも知れません。
そんな角膜変性症(マイボーム機能不全症)でした。
それでは、また次回に。
担当医

滝山 直昭
Naoaki Takiyama
獣医師 / 医学博士 / アジア獣医眼科専門医 / アジア獣医眼科学会(AiSVO) /
アジア獣医眼科専門医会(AiCVO)Secretaryアジア獣医専門医協(AiBVS)Treasurer / 日本獣医眼科カンファレンス理事
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